2014年8月27日水曜日

Snapple、日本上陸か!? - DPSの分析 -

先日、Andrew Sachais氏のDr Pepper Shakes Up Soft Drink Industryという記事を読んでいて、うれしい情報を発見しました。 
"Recently, however, CEO Larry Young revealed in a interview on CNBC that the company had obtained rights to begin entering the middle East and Far East markets with its Snapple brand of drinks."
とのことです。Far Eastですと! もしかしたらSnappleが日本に上陸するかもしれません。
Snappleは、私が留学中にもっとも愛したソフトドリンクです。帰国するとき、何が悲しかったって、これが飲めなくなるのが一番悲しかったです。

いろんなフレーバーがあり、毎回真剣にどれを飲むか頭を悩ませていました。結構ピーチが好きだったなあ。大学の新聞に、如何に我々(生徒)はSnappleを愛しているかという、どうでもいい熱きエッセイが書かれていたこともあります。

私のほかにも似たような日本の方がいらっしゃるようです。寅ママさんによるてげてげにグアム生活という 楽しそうなブログでも、グアムから大量のSnappleを日本に持ち帰ろうとする人が書かれていて、いやはや、その気持ちはよくわかる。

北米の寒い地方でもよく飲まれていましたよ。なんと、瓶じゃなくてペットボトルになってしまったのか。残念。日本に上陸するのであれば、せめてペットボトルで・・・缶じゃ気分がでないと思う。

それでこのSnappleを製造・販売しているのがドクター・ペッパー・スナップル・グループ(DPS)。今年の3月にMKC獲得作戦(失敗に終わる)の際のプランBとしてDPSの株式を獲得したのですが、まあ、その理由がSnappleが好きだから・・・です。こりゃ株式を選択するに当たり最悪の理由ですな。

やっちゃったものはしょうがない。せっかくなんでちょっとレビューしてみよう。 (以下情報ソースは主にAnnual Report 2014より)

2007年にCadbury Schweppesからスピンオフされました。炭酸飲料(コーラ以外)やジュースを扱っています。5年連続増配中(そもそも投資方針にミートしていない・・・ま、方針策定前に獲得したんで・・・)。2013年末時点で従業員は19,000人。

Net Saleでみると88%が米国、4%がカナダ、8%メキシコとカリブ地域となっていますが、メキシコとカリブ地域だけでみるとメキシコがほぼ9割程度を占めるようなので、マーケットは現在のところほとんど北米限定となっているようです。

事業は以下の3つに分かれています。


Beverage Concentrates

おもに炭酸飲料(コーラ以外、Carboroid Soft Drink = CSD)の原液を米国やカナダのボトラーズに販売しているようです。製造はミズーリ州セントルイス。ボトラーズはその原液と炭酸や水、甘味料と混ぜ合わせて、それらをペットボトルや缶に入れて最終製品にし、小売店に販売しているそうです。

知らなかった・・・なんとかボトラーズって、単に小売店等への配送と自動販売機への詰め込みを請け負っているだけだと思ってた・・・

さらに驚いたのが、ペプシコ(PEP)とコカコーラ(KO)がこの事業の最大の顧客で、2社合わせて47%を占めています。なんとライバル社の流通網に乗っかっているようです。どうやら2010年にこの2社と、いくつかのブランドについて20年のライセンス販売契約も結んでいるようで・・・代表ブランドのDr Pepperの63%はこの2社によって供給されているようです。

どうりでうちの会社に設置されているコカコーラの自販機にDr Pepperがあるわけだ。DPSの商品には、ライバル会社が相乗効果を狙えるほどのブランド力があるってことですかな。


Packed Beverages

こちらは最終製品を小売店に販売している事業です。米国内の複数の工場で生産され、独自の物流網で流通させているみたいです。CSDだけでなく、ジュースも扱っています。ウォルマート(WMT)が最大顧客で、セールスの16%を占めています。

WMTくん、値切るのもほどほどにね。キミは前回2%くらいしか増配しなかったんだから、くれぐれもほかのメンバーの足を引っ張らないように。


Latin America Beverages

上記で述べたメキシコとカリブ地域での製造・販売。

事業ごとに2013年度のNet salesと営業利益をグラフにしました。

Net salesはPacked Beveragesが圧倒していますが、儲けはBeverage Concentratesからきています。そう、DPSはSnappleとかも扱ってますけどね、主力はあくまでCSDです。ヘルシー志向と真っ向勝負な企業です。PEPとKOにおんぶにだっこです・・・まあこりゃ、さすがに言い過ぎか。呉越同舟? 面従腹背?

では、主なブランドを見てみましょう。まずは・・・

Snapple。もう 述べたとおり私の愛してやまない、フレーバー豊かなアイスティ。1972年NY生まれとか。なぜ日本に未上陸なのか理解不能。

Seven Up。1929年に誕生した、コーラの対抗馬。スプライトのような感じ。昔、飛行機に乗った時は必ずこれを頼んでいました。なぜならソルティーなピーナッツにぴったりあうし、発音も簡単だからです。

これね・・・えーとね、あんまし日本人の舌には合わないんじゃないかなあ。くだんの会社の自販機にあるDr Pepper、米国人以外で飲んでいる人を見たことがない。怖いもの見たさで試してみるのもいいとは思いますが・・・投資とDr Pepperは自己責任でお願いします。
A&W。Root Beerと言われる液体のNo.1ブランド(米国で)。1919年誕生の古き良き味。アメリカ人はこれをよく飲んでいます。私も留学したての頃、興味津々で尞にあった自販機でこれを買って飲みました。反射的に自販機の胸倉つかんで「金返せ!」と怒鳴ったのは、私の人生で、あとにもさきにもあれ一回です。人は本気になれば自販機の胸倉をつかむことだってできるんです。あなたが生粋のアメリカ人でなければ、Root Beerから遠ざかっておいた方が無難です。

上記以外にもCanada Dry(ジンジャーエール)や、Sunkist Orange等々、クリーンナップの5番打者クラスのブランドがずらりとそろっています。強烈ですが、とってもアメリカンすぎて、両大洋をこえるにはいささか個性が強すぎるきらいがあります。製品のガラパゴス化は、なにも日本のケータイだけに発生しているのではございません。

というわけで、興味を持たれた方は、是非とも一緒にDPSホルダーになりましょう。こやつらは、なかなかアメリカ大陸から出てこれない代わりに、外敵にも強いですぜ。ただ一応念のため、手を出す前に、この記事に目を通しておいた方がよろしいでしょう。

情報開示:DPS95株、KO430株、WMT140株保有

Appendix
Revenueと一株当たりの指標。ソースはモーニングスターのサイト

バランスシート
キャッシュフロー
Net cash provided by operating activitiesに対する配当&自社株買いの割合、および負債の動向。ソースはモーニングスターのサイト、一部はAnnual Reportより。
同業他社とoperating margin、ROEの比較。ソースはモーニングスターのサイト










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