2015年12月23日水曜日

米マクドによる日本マクド株式売却打診と株主優待についての考察

元来日本人には理想なく強きものに従ひその日その日を気楽に送ることを第一となすなり。
永井荷風 『摘録 断腸亭日乗 (下)』 磯田光一・編 岩波文庫
この言葉は、もともとはNHKスペシャル『カラーでよみがえる東京~不死鳥都市の100年~』での引用で知りました。
2015年12月22日の日本経済新聞一面トップに米マクド(MCD)が保有する日本マクドの株式(2702)を売却するため、大手商社や国内外の投資ファンドに打診を始めたという記事が記載されていました。

なんでも米マクドは日本マクドの約5割の株式を保有しており、そのうち最大33%までの売却を検討しているみたいです。

3月からCEOをやっているスティーブ・イースターブルック氏のもと、事業を米国、国際リード市場、高成長市場、基礎的市場の4部門に分けたそうで・・・

その結果、日本は利益貢献度が低い基礎的市場に組み込まれたんだとか(以上、ソースは2015年12月22日の日本経済新聞)。

うーん、知らなかった。もう獲得した銘柄はほったらかしなもんで。これを機会にまた今度MCDの四半期レポートでも覗てみよう。

それでその記事では、"(日本マクドは)業績不振にもかかわらず、株主優待目当ての個人株主の買いに支えられている。純粋な収益力からみて割高との声も多く、米マクドナルドの提案のまま合意できるかは不透明だ。"と書かれています。

へえ、2702はどんな株主優待があるのだろう?

で、同じ日の日本経済新聞の15面に、北沢千秋編集委員による『企業は株主を選べるか』という非常に面白い記事がありました。

石川博行・大阪市立大学教授の研究が紹介されていたのですが、なんと、"20年間のデータに基づく検証によると、優待制度や売買単位の引き下げなどで個人株主を増やした企業は、翌期以降、明らかに業績が悪化する傾向がある”のだそうです。

原因は経営規律の低下が考えられ、教授は、"「個人株主づくりの裏には、物言う株主の圧力から逃れたいという経営者の本音や自信のなさがある」"指摘されております。

つまり優待とかで比較的おとなしく声の小さい個人投資家をたくさん集めて、ラクをしようという魂胆の経営者がいるわけですな。

日本の個人投資家の皆さん、しまっていこー。

目先の株主優待に釣られているようじゃ、なめられます。長期的に見ると、経営者にも株主にも社員にも、というか日本全体にとってよろしくないですぜ。

とは言うものの・・・

私も目の前の配当や増配目当てに投資をしているとってもゲンキンな個人投資家に過ぎないので、エラソーなことは言えません。スミマセン。

株主優待目当ての投資も、その心情はよくわかります。楽しそうだなとは思いますし、全然否定するつもりはございません。ただやっぱり、こういう状況ではTOPIXのインデックスとかに投資しようとは思いにくいですかな。

なんといいますか、同じ資本主義というシステムのなかで行動していても、いろいろ国民性みたいなのが表れていて、なかなか面白いものですね。

休日の独り言でした。

情報開示:この記事を書いている時点でMCD33株保有

それにしても日経新聞、1面の記事と15面の記事、意図的な連係プレーだとしたら、よくできてますねー。ウケました。たぶん意図的ではないとは思いますが。

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