2014年5月29日木曜日

MKC マコーミック・アンド・カンパニー 分析その1

「かわいそう。帝国のために訓練して、四海を支配するために訓練して。ぜんぶなくなってしまった。全部持って行かれてしまった。世界よ、バイバイ。あなたが最後の一兵よ、ジョージ。あなたとビルが。それからあのいやらしいパーシーも、ほんのすこしだけ」
 ジョン・ル・カレ著 『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』 村上博基・訳 ハヤカワ文庫NV 
米国の大学で受講中によく考えたのが、この講義を日本語で受けたら余裕でB以上の成績なのに・・・ということです。せめて漢字を通してもう少しばかり親しみが持てる中国語であれば・・・なぜこうも英語が幅を利かせているのか。そもそも中国は長らく世界のスーパーパワーだったじゃないか、人口的にも軍事的にも文化水準的にも。なんせヴァスコ・ダ・ガマがインドに到達する約80年も前には明の鄭和がアフリカからキリンを持ち帰って皇帝をよろこばしていたくらいですぜ。

というわけで英語での講義は上の空で、私の思考は続く。どうして英国人が7つの海に打って出て世界をまたがる帝国を築き、中国は万里の長城のこちら側に閉じこもったのか・・・考えた末に出した私の結論、それは英国の食べ物はひたすら不味く、中国のそれは美味だったから、というものである。

私は英国に行ったことはない。だからエラソーなことは言えない。しかし英国に旅行や留学をした友人からの報告だと、みな口をそろえてロンドンやエディンバラ(正確にはスコットランド)の素晴らしさを讃えるが、食事は?と訊くと、概ね「いや、そりゃ、まあ、ひどいもんですぜ」ということである。

そう、英国人を突き動かしたもの、それはうまいメシへの渇望である。資本主義や株式投資、産業の発達は帝国を築き上げる過程で生まれてきたものであって、うまいメシ、スパイスへの渇欲こそが英国人の原動力だったのである。ああ、中国にろくな料理がなかったら、中国が世界を支配する帝国を築き、中国語が英語にとってかわられていただろうに・・・という結論に達したところで授業は終わった。

それから約20年の時が流れ、私の頭に再び邪まな考えが浮かぶ・・・資本主義や株式投資を生み出す原動力となったスパイス、これを提供している企業に投資すればおいしいんじゃないか…

で、見つけてきたのがマコーミック・アンド・カンパニー(MKC)である。

創業125周年を迎えた老舗、従業員約一万人で、スパイス・シーズニングミックス・調味料・ハーブ等の生産・販売を行うMKCの、その素晴らしいところは世界的なシェアが21%の一位であり、これは次点の競合他社の4倍にあたるそうです。

あんまり料理が得意でない私が言うのもなんですが、世界にはいろいろな食文化があり、それぞれ調味料にこだわる人もある一定程度いると思います。それらの細々したニーズを満たすために様々な調味料のサプライヤーがあると思いますが、どうしても規模が比較的小さな地場産業的企業が多いのではないのでしょうか。

しかしグローバリゼーションは食文化にも及んでいると思いますし、また料理をする人々(レストランや食品会社を含む)も、そこまで毎日調味料等にこだわる人の割合は少ないのではないでしょうか? (私は独身時代、塩と胡椒がミックスされてある壜が一本あれば、それで幸せだった…)

となるとGlobal ShareはNo.1で、 Net salesの割合が北米67.6%、ヨーロッパ・中東・アフリカが21.4%、アジア・パシフィックが11%、Emerging marketでのSalesが2年間で10%のびているMKC、そして忘れちゃいけない、連続増配当年数が28年というMKCは素晴らしい投資対象ではありませんか‼

というわけで構想20年(嘘つけ)、虎視眈々と狙いを定めていたMKC、実は3月末に獲得しようとして楽天証券にログインをしたその夜、なんとびっくり株価がいきなり5%UP になっていて手が出なかった・・・打つ気満々でバッターボックスにはいったら、150kmの火の玉ボールが内角高めに来て、のけぞってしまったかっこうです。

いまTrail PERが24.2、配当利回りが2.06%なので、うーん手が出せないかなあ。どうしようかなあ。もし配当利回りが2.5%くらいになったら、なにをさしおいてもまず獲得する銘柄です。

情報開示:特になし




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