2014年8月15日金曜日

資源株式の調査 その3 -コノコ・フィリップス (COP) -

資源株式の調査その1で獲得候補になった2社のうちの1社、コノコ・フィリップス(COP)をレビューしてみたいと思います。同社は14年連続で増配中です。


まずはRevenue。ソースはモーニングスターのサイト
まず目に付くのは2012年度からRevenueが、がくんと下がっていることですね。これはダウンストリームとよばれる精油・販売部門をスピンオフして、石油探査・生産(E&P)専門となったためです。そのせいか営業利益率は改善していますね。

次に目立つのが2008年度の営業利益がマイナスになっているところです。Annual Reportで確認したところ、急激なエネルギー価格や株価の下落が原因によるE&P部門のGoodwill(のれん代)、およびロシアのLUKOILへの出資(投資?)の減損(? Impairment)が理由です。

ではE&Pに専念することにしたCOPはどこに向かっているのでしょうか? CEO曰く5つのStrategic Prioritiesがあるようです。以下Annual reportより抜粋。
  • Maintain a relentless focus on safety and execution.
  • Offer a compelling dividend.
  • Deliver 3 to 5 percent compound annual production growth.
  • Deliver 3 to 5 percent compound annual margin growth.
  • Achieve ongoing improvements in financial returns.

Safetyを一番目にもってきたのには好感度アップですね。ちなみにCombined Total Receivable Incident Rate(Safety incidents per 200,000 hours)は0.26と誇らしげに書いてあります。

3~5%の持続的な年間生産量の増加とありますが、どこでどういったものを探査・生産しているのでしょう?Fact sheetからグラフを拾ってきました。
COPのFact Sheet(Mar 2014)より
COPのFact Sheet (Mar 2014)より
へええ、原油より天然ガスの方が生産量が多いのですね。地域別では北米で63%です。欧州では北海やノルウェー、それにポーランド。APMEの中東ではカタールとアゼルバイジャンだけで、こうしてみると比較的安定している地域での操業が多いですね。

産出量を増やすためには当然オイルサンドや深海に手を出さないといけないようで、それにはそれなりの設備投資が必要です。キャッシュフローをみてみると(ソースはモーニングスターのサイト):
やっぱりCapexが大きく、キャッシュが食われています。2013年度では約10%が既存設備のメンテ、45%がdevelopment drilling programs(オイルサンドやシェールなど非在来型への対応らしい)、30%がmajor growth projects(うーん、なんだろ)、15%が探査に使われたようです。

Capexの地域別だと(ソースはAnnual report、その他地域等は除く):
Lower 48(アラスカ・ハワイを除いた米国)は、話題のシェール。カナダはオイルサンド。ヨーロッパも含め、ともに2012年度から大幅アップしているのはE&P専門店になったぞ、これが我らの生きる道、という決意の表れともとれます。

APMEではマレーシア・インドネシア・オーストラリアで力を入れているようです。

こんだけ資本を食う豚があるので一株当たりの指標の推移は(ソースはモーニングスターのサイト)えらく忙しいものになっております。


2012年度のフリーキャッシュフロー(FCF)を元にしたpayout ratioは測定不能で、2013年度は600%をこえています。うーむ。これまではここの時点で獲得候補外にしていたのですが・・・過去2年間のCash Flow Statementをウォーターフォールチャートでみてみます。ソースはAnnual Report、項目は適当にまとめています。


2012年度はダウンストリームのスピンオフの結果、Phillips 66からスペシャルキャッシュが入ってきており、これで自社株買いと配当を賄うことが可能になっています。

2013年度は自社株買いを行っていません。私はこれを、E&P専門として企業の体制がととのってきたので、あるていどキャッシュポジションを積み上げるのを優先しているのかな、と考えるのですが、どうなのでしょう。そんな単純なものじゃないか・・・。

ここで投資方針ですが、これまではFCFに対するPayout ratioが70%以上だったら獲得候補から外していたのですが、これからはたとえ70%以上であっても、自社株買いや配当の原資を負債に頼ってにしている様子がなければ候補としてとどめておくことにします。

バランスシート(ソースはYahoo Finance)。項目は適当にまとめてしまっていますが、その他負債にはOther Liabilities、Deferred Long Term Liability Charges、Minority Interestが含まれています。

あとは稼ぎ(Net cash provided by operating activities)に対する配当&自社株買いの割合、および負債の動向です。モーニングスターのサイト。負債の単位は$Million。



Annual Report等の全体的な印象として、E&Pに特化したし、さあこれから新たにやるぞ、という意気込みが伝わってきます。私としては地域的なリスクがそんなに高くないというのが良い印象です。シェブロンを補完する銘柄としては悪くないんじゃないのかな。


情報開示:CVX64株保有

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