2014年10月29日水曜日

神話の時代 1995-1999 -コカ・コーラ(KO)-

" 人はなぜ追憶を語るのだろうか。
 どの民族にも神話があるように、どの個人にも心の神話があるものだ。その神話は次第にうすれ、やがて時間の深みのなかに姿を失うように見える。―だが、あのおぼろな昔に人の心にしのびこみ、そっと爪跡を残していった事柄を、人は知らず知らず、くる年もくる年も反芻しつづけているものらしい。
"


北 杜夫 『幽霊-或る幼年と青春の物語』 新潮文庫
連続増配当株式・バフェット銘柄としても有名なコカ・コーラ(KO)ですが、黄昏の国の英雄で書いた通りキャッシュフローの負債の出入りがすさまじく、不安と興味を覚えたので、複数回にわたってキャッシュフローの歴史を追ってみます。


御大バフェットがKO株式を取得し始めたのは1988年らしい(ZUU online)のですが、それから7年経過した1995年から1999年までの20世紀最後の5年間を調べました。同期間の株価のチャートです。ドットコムバブルより一足先にバブルが来ていたんですね。
Yahoo! Financeより

5年間の年間キャシュフローをすべてウォーターフォールチャートにして見比べました。1997年が一番Net cash provided by operating activitiesが多く、内容がよさそうなので、まず代表してこの年のチャートを覗いてみます。
アニュアルレポートより、項目は適当にまとめています

いいですねー。投資のコストも少しで済んでいて、負債が減っており、しっかり自社株買いをして、それより多くを配当に回しています。低コスト且つ株主還元が手厚い。

では逆に、この期間中の悪い年(私の判断)のチャートはというと、1999年になります。
アニュアルレポートより、項目は適当にまとめています

投資のコストが大きくなっており、それとほぼ同額の負債をしています。どうしたんでしょうね。まさか恐怖の大王(Byノストラダムス)が空から降ってくると見込んで、どうせ金は返さんでいいからとばかりに放蕩の限りを尽くしたってわけじゃないでしょうね。

1998年度版アニュアルレポートで調べたら、どうやらCadbury Schweppesのブランドを160ヶ国以上で買収したのと、ボトラーズへの投資でお金が入用だったようです。ここらへんの投資は、果たして後々効いてきてるのでしょうか。ちなみに1995年のNet operating revenueは$18.0B、1999年は$19.8Bで、この期間10%増えています。あ、あと、不確かですが、1999年はY2K問題(なつかしいな、私も風呂に水とか貯めたな)対策でも、コストがかかったみたいです。

では、この期間の合計のキャッシュフローのチャートです。
アニュアルレポートより、項目は適当にまとめています


全体を通すと、投資コストは少なく、若干負債が増えていますが、悪くないです。なんで98年あたりにあそこまで株価が上がってたんですかね。この年のKOのPERは、なんと48倍にもなったそうです。ここまでくると、もはや神話の世界ですな・・・バフェット神話かな。まあ、KOの97年のお金の流れは良かったですが。

その後ドットコムバブルが膨らむ前に急落しているのは、みんながIT関連へ投資資金を移したあおりを食ったのでしょうか。御大バフェットが耄碌したとか言われていたのは、この頃かな。IT革命で、いったん神話は一気に忘れられてしまったのかもしれない。御大、最近も耄碌したと言われたりしてるみたいやけど、どうなんだろう。

最後に同期間の負債の動向と、1999年のBS。
アニュアルレポートより、Short termはloans and notespayable + current maturities of long term debt

アニュアルレポートより、項目は適当にまとめています
 次回は2000年から2004年をみてみます。

情報開示:KO430株保有




0 件のコメント:

コメントを投稿