2014年12月10日水曜日

連続増配が止まる時 - ディーボルド(DBD) -

"You say I only hear what I want to..."
作詞・作曲 Lisa Loeb 『Stay (I missed you)
むかーし、中学だったか高校だったか、教師から「中間と期末のテストで出来なかったところをきちんと復習さえしていれば、ナントカ塾やナントカゼミなんぞ必要ない。それだけのもん(テスト問題)をちゃんとつくっておる」と言われた経験があります。

そのとき、けっ! 禿げオヤジの田舎教師がエラソーに、とばかりにロクにその言葉に耳を傾けていなかったせいで、30年たったのち、なかなかうだつの上がらない人生を歩む羽目になっております。いやはや、自身のできなかったところや失敗をきちんと見つめなおすって、大事なのだけどなかなかできないですね。

さて、いつも米国の銘柄選びの第一歩として活用しているDave Fish氏のU.S.Dividend Championsのリストから、60年連続増配当を誇っていたディーボルド(DBD)が消えました。

どうやら10月に発表されたQ4の配当が現状維持の結果、今年度の配当が去年度と同じになったので、リストから除外されたようです。減配とかじゃないけれど。

ふだんは、これから投資しようかと検討する銘柄をレビューします。増配当を今後も続けるであろう企業を選ぶようにしています。ただそれだけだと本当に自分自身の目を鍛えることにはならない。あんまり見たくないものもきちんと見ておかなければなりません。

見たいものだけ見ていて許されたのは、それは伊代がまだ16だったからです。40を超えてそんな態度じゃいけません。

長年にわたる増配当をやめてしまった企業をきちんとレビューすることも、ボロボロな結果の中間テストを見直すこと同様、増配当株式を見極めるにあたり意義のあることと思います。今後も折に触れて、増配をストップした企業を「減配の本質」シリーズとしてレビューしてみたいと考えています。

もちろんこれは、中公文庫から出ている『失敗の本質-日本軍の組織論的研究』をもじっています。あちらとちがい、こちらでは本質なんぞ見えてこないとは思いますが・・・やるだけやってみよう。

それでDBD、減配はしていませんが、シリーズのトップバッターにさせていただきます。 1876年にオハイオ州で法人化された統合セルフサービス(銀行のATMとか)とエレクトリックセキュリティシステム・サービスを提供する企業です。従業員は約16,000人。

Revenueの中身はこんな感じ。
アニュアルレポートより
世界的な企業です。ブラジルが特別扱いになっていて、13%を占めているのがユニークですね。
そのRevenueの推移。(これ以下、グラフの数値のソースは全てモーニングスターのサイト)。


金融危機で落ち込んでから、まだ回復してきていません。営業利益も下がりつつあります。聞くところによると、ATMの競合他社のNCRにシェアを取られているっぽい・・・品質の問題なんだろうか、営業の問題なんだろうか?

営業利益の低下、特にFY13に関しては、北米での顧客のShift(シェアを失ったこと?)と販売数減、減損処理やリストラコストの増加が原因とのことです。

一株当たりの指標。
ああ、EPSが・・・。グラフにうまく載せられなかったのですが、Payout Ratioの推移は以下の通り。

EPSがマイナスの年は値がありませんが、結構無理して増配を維持していたんですね。どういうお金の流れだったのか、2011年度から2013年度をウォーターフォールチャートにしてみました。


11年度と12年度は、派手に債券発行・債務支払いをしてますね。でも、いかんせん営業キャッシュフローが伸びないので、12年度からは自社株買いの余力がなくなったかな?

あんまり投資は必要がない・・・のかな、投資活動の余裕がなかっただけなのか・・・結果的に投資キャッシュフローはそんなに大きくない。

ああ、この図、見たことがある・・・コカコーラ(KO)のそれと似ているなあ(汗がたらり・・・)。KOのRevenueと営業キャッシュフローは、そこまで下がってないけど。

それでDBD、13年度は低金利のご時世なのに債券発行をおさえている・・・意図的なんでしょうか、もう発行が無理になってきたんでしょうか。14年度は見ていないですが、劇的にRevenueが回復しているとは思えないので、増配は、まあ力尽きちゃったんでしょうな。 

60年連続増配という過去の実績だけでは、将来の増配を約束するものは無いようで・・・当然と言えば当然ですが。で、当然ながら企業は稼いでナンボなので、Revenueと利益が伸び悩むと配当の原資が作れません。

現在DBDは現状を打開すべくDiebold2.0という戦略を策定し、遂行しようとしています。その4つの目的のひとつは、フリーキャッシュフローを増やし 、株主還元につながる投資をするというふうに謳っています。

現時点で獲得の対象ではないですが、数年後どうなっているか、ときおりフォローしていきたいですね。

情報開示:KO430株保有

Appendix BS


 


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