2016年3月9日水曜日

20年後の空を見上げて - 投資方針の若干の改定 -

笑っちゃう 涙の止め方も知らない
20年も生きてきたのにね
『メインテーマ』 松本隆:作詞 南佳孝:作曲 薬師丸ひろ子:唄

先だって、投資方針を少し改訂しました。

まず連続増配年数を10年以上継続中の銘柄に投資するとしていましたが、これを2018年より11年以上、2019年には12年以上というふうに一年ごとに一年追加していくようにします。

もう一つは、20年先までビジネスの将来を見通すことができ、安定したキャッシュフローが見込めそうな銘柄を選択する、という一文を追加しました。

これは先日読んだ『リスク・テイカーズ』(川上 譲・著、日本経済新聞出版社)のビル・アックマン氏についての記述に影響を受けています。

アックマン氏はハーバート大卒の頭脳明晰かつ論理的な人物で、パーシング・スクエア・キャピタルを率いる「劇場型」アクティビストであり、経営者に「白いキツネ」と恐れられている存在なんだそうです(彼は白髪、しかし砂漠のキツネのロンメルみたいですな)。サントリーによるビーム買収にも一枚かんでいたとのこと。
Bill Ackman in crowd / insider_monkey

その彼の投資先を決める基準の一つに、


10年先までビジネスの将来を見通すことができ、安定したキャッシュフローが見込めることも重要

というのがあります。(P.123)

で、彼の2012年の投資先の一つがプロクター&ギャンブル(PG)。業績芳しくないPGのマクドナルドCEO(当時)に、75ページに及ぶ資料を手に押しかけて、結果的に退任にまで追い込む株主圧力の一端を大きく担ったようです。

たのもしいぜ、アニキ。がんばれよ。

単なる末端の個人投資家である私は、以前書いた通り「売る」という行為を大の不得意としています(参考:インデックス投資の罠)。まったく、資本主義社会の風上に置けませんな。したがって獲得した銘柄はひたすらホールドが基本路線です。

そして、短期間で、あるいは10年で成果を上げる義務は、誰に対してもございません。20年間連続でTOPIXのパフォーマンスを下回ったところで、アックマン氏が75ページの資料片手に押しかけて来ることもありません・・・来てもいいけど。

というわけで、たとえ直近の成績がさえなくても、向こう数年間の見通しが暗そうでも気にすることはありません。20年後も引き続き、きちーんとキャッシュをGenerateしてくれそうな銘柄を選ぶことを重視することが大事です。

今後の銘柄選択の際、いろいろファンダメンタルズ等を調べた後の最後の最後に、「このビジネス、このブランド、この商品、これらは20年後も存在し、キャッシュを生み出すか?」を強く意識していきたいと思います。

☆☆☆

いまから20年前はというと、当時私は社会人になって2年目。日本の中小企業だったからかもしれませんが、パソコンは課で一台共有という状況で、輸出業務に使う書類作成のときや議事録作成時に電源を入れて、使用後電源を落とすといった使い方でした。取引先とのやりとりは、電話かFaxでしたねえ。

ジョブズが復活する前のアップルは地を這い、ネットの検索はというとヤフー、米国ではAOLだったんじゃないかな。

携帯電話はようやく一般的に普及し始めたってとこでしたかね。それ以前は、まだ一部のいささか怪しげな業界人っぽい人しか使っていなかった。営業には配られていたか。MD(ミニディスク)ってなにそれ、ちっちぇー⁉って感じでした。テレビは、どでかいブラウン管。ワイドTVがどうのこうの言っていましたなあ。

いまやiPodにiPhone(僕はアンドロイドやけど)で、MDはとうの昔に姿を消しています。ITに疎い私ごときがネットで日米の株式を注文し、こともあろうにブログなんぞをやっています。もちろん仕事では一人一台のラップトップはかつての電卓並みに当たり前で、いやはや、仕事のスタイルも随分様変わりしたものです。

But I remember...20年前のコンビニやスーパーの棚にはコカ・コーラ(KO)はずらりと並んでいたし、PGのシャンプーやオムツはドラッグストアの棚を占めていました。いや、20年どころではなく、私の思い出す限りの一番古い記憶の一つに、近所の食料品店のアイスボックスにずらりと並んだファンタを祖母に泣かんばかりにねだったことが挙げられます。

And I remember...日本では見られませんが、20年前の米国の道路沿いにはウォル・マート(WMT)やターゲット(TGT)、NAPA(GPC)のお店が並んでおり、これは現在でも変わりません。マクド(MCD)もしかり。

果たしてコカ・コーラは20年後存在するでしょうか? 存在します、間違いなく。

パンテーンは? 存在するよ、きっと。ジレットの替え刃は、忙しいおっさんどもをドラッグストアに吸い寄せる磁力であり続けるでしょう。20年後の男性のマジョリティが永久脱毛処理をするとは考えにくい。

WMTは? TGTは? 何者も人々からマーケットに出向いて買い物をするという喜びを奪うことはできないはず。

NAPAは? たとえ路上を走る車のほとんどが自動運転自動車になったとしても、たとえシェアのトップがトヨタからGM、もしくはテスラモーターズになったとしても、存在するはず。なぜって、自動車は摩耗するものだからです。

これらのビジネスやブランドは、いまから20年たっても衰えていないでしょう。薬師丸ひろ子の透き通った優しい歌声が、あのアイドルとしての絶頂期から20年以上経っても、少しも衰えていない、どころか、ますます磨きがかかっているように。

そして泣きだしたら止まらない、わがムスメ(一歳)は、20年後には涙の止め方を習得しているのだろうか。

わからない。まあ、がんばれよ。

☆☆☆

あとひとつの改訂である、連続増配年数のハードルを2018年以降上げていくことの理由は、サブプライム・クライシスを発端とする金融危機中に増配をしているかどうかを押さえておくためです。あの状況下で増配している銘柄は、今後起こるであろう数々の危機でも、そうやすやすと黄昏たりはしないでしょう。

ここを押さえておけば、私も晴れて「リスク低カーズ」の仲間入りだな。川上さん、いつでも取材OKですぜ。「リスク低からず」は他の人にまかせておこう。

☆☆☆

最後に薬師丸ひろ子さんからジェントルな警告(ポーズつき)

時は忍び足で 心を横切るの

時を味方につけましょう、忍び足で横切られてしまう前に。

情報開示:この記事を書いている時点でKO355株、PG83株、GPC25株、TGT43株、WMT140株、MCD33株保有

2 件のコメント:

  1. 嫁ぐ娘に涙してるかも・・・

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    1. うーん、どちらかというと、

      笑っちゃう お金の儲け方も知らない
      20年も投資したのにね

      と涙しているオチの可能性が高いような気がする。

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