2016年4月21日木曜日

帝国の逆襲 -マクド (MCD)-

「ハネムーンはどうする」と、彼はたずねた。
「トマスが? あの人の頭にあるハネムーンなんて、<マクドナルド>で食べて、アリーナでホッケーの練習を見ることよ」

ジョン・ル・カレ 『ナイト・マネジャー』 村上博基・訳 ハヤカワ文庫


トマスのような人がいる限り、マクド(MCD)は安泰です。なにも南の島のホテルにわざわざぼったくられに行くことはないのです。トマス君に乾杯。


私達は数年前、ハネムーンで遠路はるばるハワイはビッグアイランドでぼったくられてきましたが・・・でもKona Beerは最高だった。また行きたいな。


2015年度のMCDを振り返ります。グラフ以外の数値のソースは基本的にアニュアルレポートからです。

年末時点で、119か国で36,525店を展開、そのうち30,081店がフランチャイズ。米マクドによる日本マクド株式売却打診と株主優待についての考察で書いたように、7月からセグメントを米国、国際リード市場、高成長市場、基礎的市場の4部門に分けています。


国際リード市場は、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、そしてUKです。


高成長市場は、中国、イタリア、韓国(⁉)、ポーランド、ロシア、スペイン、スイス、そしてオランダ。


Revenueに占める割合は、米国34%、国際リード市場30%、高成長市場24%、基礎的市場12%とのこと。


全体的に2015年は、前半は新しいCEOのもと強い変革を打ち出し、後半にそれを実行して、ある程度Turn aroundの手ごたえを得た年としています。


Revenueの推移。

数値のソースはモーニングスターのサイト
FY15は前年度比-7%ですが、66%が米国外ということで為替の影響が大きく、それを除くと+3%。
Operating Incomeも、為替の影響を除くと、ほぼフラット。

Comparable Store Sales(CSS)とComparable Guest Counts(CGC)で前年と比較すると、

米国: CSS+0.5%、CGC‐3.0%。第3・4四半期で盛り返したとのこと。

国際リード市場: CSS+3.4%、CGC+1.0%。
高成長市場: CSS+1.8%、CGC-2.2%。例の肉の問題以降、中国での回復が良いみたいです。
基礎的市場: CSS+0.7%、CGC-3.7%。
       
基礎的市場に関しては、世界一Demandingで、なおかつ盛者が必衰したとき、というか、けっつまずいたときに、よってたかって足蹴にするという傾向が無きにしも非ずな日本人が足を引っ張っている模様です。どのように対応したらいいかは、コンサル会社や投資会社より、尾木ママに相談したほうがいいかと思います。

財務3表(数値のソースはアニュアルレポート、PLの表は若干つじつまを合わせています)。




数値のソースはアニュアルレポート
ぱっとみて気が付くのは、長期負債借入による現金と、自社株買いの増加ですね。

2014年から2016年にかけて計$30Bの株主還元を行うとしており、2015年末までで累計$15.8Bの還元を済ませたそうです。ということは今年は$14.2Bを配当と自社株買いに使うようですな。

まず、株主に愛想をよくしてから、改革に挑む・・・ウム、方向としては間違っておらんぜよ。

でも、そのために更なるDebt issueをするのだとか・・・ま、いいけどさ。はっきりいって株主の為にわざわざ借金して、それをそっくり配ってくれたようなもんだな。

最近の好調な株価はこれが一因かな。コカ・コーラ(KO)のようなDebtのジャグリングの始まりかもしれぬ。

新CEOのお手並み拝見ですね。

そのCEO、イースターブルック卿は、長期的には2018年末までに4,000店をリフランチャイズし、全店舗の95%をフランチャイズにする目標を立てています。

またGeneral & Administrative expenseを$500M削減するそうで、そのほとんどが2017年中に達成できるだろうとしています。

そして、これまでMCDは、お客様にMCDの流儀に沿ってもらうことを求めていたけど、これからは我々がお客様の要望に合わせていくことにしたぞ、と(MCDにおける)歴史的宣言をしています。

い、いまさらかよ、さすが帝国。

で、わかりやすい例として米国でのAll day breakfastの導入が挙げられます。

10時前に起床することのなかった学生時代の私みたいな人間にとっては嬉しいですな、これ。

あと、米国のエッグマフィン、オリジナルのレシピ通り、マーガリンからバターに戻したりしたそうで。

なんにせよ、MCDは、CEOが株主への手紙に書いていますが
No one has our iconic brand, franchising model, geographic diversification or size and scale
なのです。もう、おっしゃるとおりです。他の追随を許さない、世界にまたがる帝国をすでに築き上げているのです。少々の新興勢力が出たところで、あんじゃねぇーよ(なぜか信州弁)。

圧倒的な強さと安定感をもってして未来永劫株主に報いてくれることでしょう。さしあたりは2018年までの帝国の逆襲を楽しみましょうか。

情報開示:この記事を書いている時点でMCD33株、KO355株保有

このブログのその他のMCDの記事はこちら

0 件のコメント:

コメントを投稿