2016年5月28日土曜日

終わりのないブルーズ(石油界隈) その2 - ヘルメリッチ & ペイン (HP) -

 最近はレバレッジに熱を上げているが、ファルドはつねづね流動性が重要だと信じていた。嵐に乗り出すなら手元に大量の現金がなければならない、とよく言っていた。
アンドリュー・ロス・ソーキン 『リーマン・ショック・コンフィデンシャル』 加賀山卓郎・訳 ハヤカワ・ノンフィクション文庫 
*ここに出てくるファルドさんは、リチャード・ファルド氏のことで、リーマン・ブラザーズ破たん時のCEOだった人です。
ヘルメリッチ&ペイン(HP)の2016年度の第2四半期の数字が出ていたのでレビューします。The 3rd Man's  Fundの中では、この原油価格の動向下、一番安定感にかける銘柄と思っているので、まめにフォローしていきたいですね。


まずRevenueですが、Q2の前年比をグラフにすると・・・

数値のソースは10-Qレポート
いやはや、全体で-51%です。ちなみにOperating Costs & otherは-39%。

HPの2016年5月18日付のプレゼンテーションから、U.S.Landのリグ数を見てみると、業界の四半期ごと(たぶんローリングで算出してるっぽい)の平均稼働リグ数が、2015年3月でだいたい1,000本程度くらいで、それが2016年初めに500、現時点では400を下回ってきているようなので、このRevenueの低下は致し方ありません。

まあ、そもそも山師銘柄ですからね。

HPのプレゼンテーションより
2016年の1月には121のリグがRevenueを生み出していましたが、これが5月2日時点で79にまで低下しています。

財務的にはどうでしょう。BSを2015年9月と2016年3月で見ます。



数値のソースは10-Qレポート
流動性資産の内、キャッシュが898Mあり、それだけで流動性負債371Mを十分上回っています。

そのキャッシュの動向ですが、まず参考までに原油価格が高かったころの14年度3月から下落した15年度6月までの四半期ごとのフローが以下の通り。(数値のソースはモーニングスターのサイト




15年度の12月から3月にかけてのOther fin activitiesでキャッシュが増えているのはsenior notes(優先債券)で調達しているためです。 


そして期間がちょっとダブりますが15年度12月から16年度3月まで。




前出のSenior notes分は15年度6月から9月で返済(という日本語であっているか?)し、代わりにDebt Issueしてキャッシュは厚めに保っています。

ただアニュアルレポートで見ると、なんかSenior notesとDebt Issueの扱いが、モーニングスターのサイトに載っているのと違うように見受けられるのですが、再度10-Q とかから数字を拾うのは非常に面倒なので、QTRLYのキャッシュフローの数字はモーニングスターのから拾ったものを利用します。


2016年度に入ってからは、投資キャッシュフローが非常に抑えられています。で、同じく配当も。


43年連続増配のHPも、ひょっとしたら連続増配年数記録が途切れるかもしれません。でも仕方ありませんね、この嵐を耐え忍ぶには、レバレッジ控えて、手元に大量の現金がなければならないと私も思います。でないと、リーマンブラザーズのような破目になっちまいます。


個人的にYield on Costは5.7%なので、無理は望みませぬ。


肝心のシェアは、2016年1月の19%から17%に下がってしまいましたが、まあこんだけ限られたパイになっちゃったんで、あんまり気にしないでおこう。まだまだトップで2位の競合先は11%です。


今日明日資金がショートみたいなことは無さそうだし、引き続きホールド。


情報開示:この記事を書いている時点でHP50株保有


このブログのHPに関するその他の記事はこちら

【あんまり関連のない記事】終わりのないブルーズ(石油界隈) その1

2 件のコメント:

  1. いつも拝見させていただいてます。
    HPはこちらで紹介していただいて、知ることができました。
    平気で5%くらい上げ下げしてハラハラとさせられますが、
    Kさんの紹介文のおかげもあり、そういったところもなんだか愛着が沸く銘柄です。
    これからもキャッシュにものを言わせたマッチョな経営を期待です。
    ※62株保有中です。

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    1. いつもありがとうございます。まったくHPの株価の上げ下げは、Dice K Matsuzakaの立ち上がりのピッチングなみにハラハラしますね。

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